中国のICPライセンスとは一体何?取得せずに中国市場に参入は可能?

中国ではインターネットに対して厳格な規制が存在します。特に中国国内でウェブサイトを開設する際には「ICPライセンス(Internet Content Provider)」という許可が必要となります。

当記事では、中国でウェブサイトを開設するうえで必要不可欠なICPライセンスについて、種類やICPライセンスが必要となるケース、さらには日本企業が中国でウェブマーケティングを行う場合に取るべき戦略について解説します。

1. ICPライセンスとは?

ICPライセンスとは、中国国内でウェブサイトを開設する際に必要となる許可証です。中国国内のサーバーにウェブサイトをホスティングする場合はICPライセンスが絶対に必要となり、未取得での運営は違法となります。

ICPライセンスには2種類あり、ウェブサイトの目的が「営利」か「非営利」かで取得難易度は大きく変わってきます。企業の公式サイトや商品やサービスの紹介など、決済が伴わないサイトは「非営利」とみなされ、容易に「登録」することが可能です。

一方、ECサイトやSaaSなどの「決済が伴う」ウェブサイトやサービスは「営利」目的とみなされ、 「商用」のICPライセンスの「取得」が必要となります。商用ICPライセンス(経営性ICPライセンスと呼ばれます)は審査制となっており、取得のハードルは非常に高くなっています。

2. ICPライセンスが必要となるケースは

ICPライセンスが必要となるのは、基本的に「中国国内のサーバーにホスティングし、ウェブサイトを公開したり、サービスを提供する場合」であり、たとえ中国向けのコンテンツを公開していたとしても、サーバーが日本国内にある場合はICPライセンスは不要です。また、香港のサーバーにホスティングしている場合もICPライセンスは不要となります。

3. ICPライセンスを取得しない場合の代替案は

ICPライセンスの有無はサイトの表示速度に影響を及ぼすと言われています。中国は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれるシステムで検閲を行っており、その関係で中国国内外でインターネットのアクセス速度に差が生じるとされています。

アクセス速度の差はユーザーエクスペリエンスに直結する要素であり、ICPライセンスを取得できるのであれば、取得した方が有利なのは間違いありません。では、日本企業はICPライセンスがないと中国向けのウェブマーケティングは展開できないのでしょうか?

答えは「ICPライセンスがなくても、中国向けの事業は展開可能」です。たとえば中国向けにモノを売りたいというのであれば「Tmall」をはじめとする中国の通販サイトに出店すれば済む話であり、プロモーションを行うのであればSNSマーケティングを活用すれば済む話です。また、中国向けに広告を出稿すれば、ICPライセンスがなくてもウェブサイトに集客することも可能です。

中国に法人がない日本の中小企業にとっては、中国の既存プラットフォームを上手に活用すれば、ICPライセンスを登録・取得しなくとも低リスクで市場に参入することが可能です。